読書

 息抜き的に、『情況』2007年11・12月号の「座談会 ドイツ現代思想をめぐって」(高橋順一藤野寛、田辺秋守、仲正昌樹、浜野喬士)を読む。ドイツの思想・哲学の状況、美的なものへのスタンス、ホネットの評価など、なかなか面白かった。

情況 2007年 12月号 [雑誌]

情況 2007年 12月号 [雑誌]


こちらも読了。

 戦後日本の各時代において、「どういうことが『自由に生きる』ことだと考えられてきたか」を辿った本。その意味で、副題にあるように、「自由の考え方」を切り口とした、戦後日本社会論でもある。
 以下、全く断片的な感想を。
 日本女子バレー、『あしたのジョー』、全共闘を「真っ白な灰に燃え尽きる自由」として論じる第3章あたりはかなり強引な議論であるようにも見えるが、それはそれで著者のセンスを感じさせるし、また本書の魅力となっているように思う。
 全体的に面白いのだが、世代的にはやはり80年代の尾崎、90年代のエヴァ、そして2000年代の「潜在能力/創造」のあたりが、とくに気になる。本書を読んで、尾崎は「終わりなき日常」の耐えられなさを歌ったのだと気づく。そうか、80年代は既に「終わりなき日常」だったのだ、と。また、90年代の「ちっぽけな自分」の肯定と2000年代の「創造としての自由」とは、多分相反する傾向なのだ、とも思う。
 そして、著者の思い入れも、尾崎とエヴァに特に注がれているような気がするのは気のせいだろうか。