頂きもの

母より。田村栄子・星乃治彦編『ヴァイマル共和国の光芒――ナチズムと近代の相克』(昭和堂、2007年)。

ヴァイマル共和国の光芒―ナチズムと近代の相克

ヴァイマル共和国の光芒―ナチズムと近代の相克

はじめに
序章 ヴァイマル共和国研究史――「ナチズムと近代の相克」の視点から(田村栄子)
 第?部 「国民国家ヴァイマルの実相
第1章 国民国家・地域・マイノリティ(伊藤定良
第2章 民族自決とマイノリティ――戦間期中央民族問題の原点(相馬保夫)
第3章 フォルク(Volk)と青年――マイノリティ問題とドイツ青年運動(川手圭一)
 第?部 ヴァイマル・モデルネの展開
第4章 「モデルネ」のコンテクスト――バウハウスをめぐって(星乃治彦)
第5章 ヴァイマル・モデルネをめぐる相克――都市ヴァイマルを事例として(熊野直樹)
第6章 「医の既存世界」に対抗する社会主義医師協会――「全保健制度の社会化」と反ナチズム(田村栄子)
 第?部 ヴァイマルの危機と反ファシズム
第7章 暴力・街頭・抵抗(星乃治彦)
第8章 共和国救済の最後の選択肢?――シュライヒャー内閣の国家非常事態計画再考(熊野直樹)
第9章 ヴァイマルの残照――反ナチ抵抗運動の戦後ドイツ・ヨーロッパ構想(相馬保夫)
あとがき

まず第一に本書は、ヴァイマル共和国をナチス第三帝国の単なる前史として見、その連続性を強調する近年の日本における研究に対する批判を出発点としている。本書においては、ヴァイマル共和国は、結果として第三帝国に行き着くとしても、そうではない方向をもあわせもった、他に類例を見ない固有性を有した時代として、またそれが放っている「光芒」は今日においても色あせていないという評価のもとに描出される。(i頁)