日暮雅夫『討議と承認の社会理論』(勁草書房、2008年)。
読了。
- 作者: 日暮雅夫
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2008/06/19
- メディア: 単行本
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ハーバーマスが次第に「差異」に敏感になっていくこと、しかし、その先に予想される人間論的な議論には立ち入らないが故にホネットの承認論の意義があること、だがそのホネットも「間主体性的」(「間主観的」ではなくあえて「間主体性的」とされている)な理論である点でハーバーマスと共通しているだけでなく手続主義の重要性を放棄していない点でもハーバーマスと共通していること、などなど。
全体的に勉強になるし、本書から伝わってくるテキストを丁寧に読むことの大事さも、僕などには大いに反省すべき点である。しかし、今の僕の関心からすると、「差異」や「コンテクスト」に敏感になりながらも、どうしてハーバーマスが、それでも普遍主義にこだわるのかという点、言いかえると、「差異」や「排除」の時代にもかかわらず「普遍主義」を手放さないことの意味/意義はどこにあるのか、という点をもう少し検討してほしい気がした。
もっとも、それは、先に述べたように、ホネットが手続主義を尊重している点などについての記述に表れているのかもしれないが、僕としては、鍵は、普遍性/個別性でも、手続/闘争でもなく、反省性であるというラインで考えたいと思っている。