ドラフトチェック

 日本の院生から送られてきていた二つのドラフトを読んで、コメントを返しました。一人の方は、もうすぐ投稿するための最後のチェック段階。このご時世にもかかわらず、紀要への投稿ですが、長いものをしっかりと丁寧に書けるというメリットもあると思っています。そして、それは、切り貼りではない博士論文をまとめるためにも役立つのではないかと思っています。もちろん、短い論文を集めれば必然的に切り貼りになるというつもりはありません。ただ、長いものをまとめるには、短いものを書くこと+アルファの力、が必要だと、経験的には思います。よっぽど計画性があり、実際にその計画を実行に移してもブレが出ないという稀有な才能をもった人でないかぎり、いくつかの論文を書けば、必ずブレも重複も生じます。そこをまとめ直していく力というのは、やっぱりそれを意識したトレーニングが必要だと思うのですね。
 これは日本に限らないと思いますが、シニアな研究者になると、論文集っぽい中身にも関わらず、イントロである程度の相互関連づけを行って本にする、ということもできると思うし、実際、そういう業績もあります。そして、僕自身も人のことはあまり言えないわけですが…。ただ、本にするということであれば、本来は、事後的ではない形で、各パートに論理的な位置づけが与えられているべきだと思います。少なくとも、博士論文では、そういう力量も評価されるのではないでしょうか。
 もっとも、そういう力が、どんどん求められなくなっているのだとすれば・・・さて、どうしましょうね。