『政治思想研究』第10号

政治思想学会学会誌『政治思想研究』第10号(2010年5月、風行社)が届きました。
今回のテーマは「政治思想と周縁・外部・マイノリティ」。昨年度の大会のテーマをある程度踏まえたものです。
なお、今回から、「政治思想学会研究奨励賞」が一定の研究歴以下の若手の掲載論文に贈られることになりました。


書誌データがまだ出ませんが、そのうち買うこともできるはずです。


ちなみに第6号第7号までは、下記の政治思想学会サイトで見ることができます。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jcspt/publications/index.html
もう一つちなみに、現在の刊行元の風行社のサイトはこちら。
http://www.fuko.co.jp/


 ところで、院生の論文の発表の場として紀要を使うことは今日でもなお有効性を持つのでしょうか?僕は、博士論文を書くためには、一定の短い字数に収める論文を書きためるだけではなく、より自由に字数を使える場つまり紀要(←そうでない場合もあるかもしれませんが)で発表していくことも大切なのではないかと考えているのですが、あんまり妥当な見方ではないのかもしれないとちょっと思わないでもないです。
 ことは、博論の性格にも関わるのでしょう。この前読んだイギリスの政治学者の本の一部によると、一方のアメリカ型の博論では、いくつかのジャーナルに寄稿したものを合わせたものが求められ、そこでは、必ずしも「本」としての全体的なまとまりは重視されず、他方のイギリス型の伝統的なものでは、「本」的なまとまりが重視される、とのことでした。2万字程度の論文を発表していくというのは(『政治思想研究』は32400字と破格に字数が多いですが)、アメリカ型のdissertationに適合的であるように思います。
 「査読雑誌」への掲載が日本の、特に政治学界隈でどの程度の重みを持つのか、逆に言うと、紀要論文だと本当に箸にも棒にもかからない扱いにしかならないのか。この点について、僕自身はそうではないだろうと思っていますが、でも、世の中的には、そうだというのが当然だとしたら、ちょっと迷うところではあります。