頭の中を入れ替える

 お正月ということで、広島の僕の実家に帰省してきました。といっても、今年は諸事情により、何と日帰りです。
 朝に出て夜に帰ってくるということであっという間なのですが、不思議と、ずいぶん長く滞在したような気分で、頭の中もリフレッシュしている気がします。まあ、実家に帰るとはいつでもそういうものかもしれないのですが、それにしても今回は日帰りですので。
 それでちょっと思ったのは、昔の記憶や経験をたどることによって、現在の意識を一時的にであれ取り替えることができたのではないか、ということです。今回は、短時間の滞在ながら、通っていた二つの小学校をぐるっと回って歩きました。これは、それなりの道のりがある上に、山の上に上がった後でふもとに行くという高低差のある道程でもあります。そうやって歩いている時は、子どもの頃のことを色々思い出しながら歩いています。そうやって歩いているうちに、意識のかなりの部分が取り替えられたようになるのだろうなと思ったのでした。たった一日にもかかわらず、思いがけず「長期間の」滞在を経験できてよかったと思っています。
 でも、よかった話ばかりではありません。子どもの頃に住んでいた公務員住宅の解体がいよいよ始まっていました。一年後には、ひょっとしたらすべての棟がなくなっているのかもしれません。元々山だったところを造成してできた場所で、住んでいた時も、そして帰省するたびにも、新しいマンションが建ったり、山が新たに造成されたりしていて、良いかどうかは別として景色は変わってきていた場所ですが、それでも、この公務員住宅の解体は、最大級の景色の変化をもたらすことでしょう。僕の知っている子どもの頃の風景がなくなってしまうことを意味するので、大変悲しく思います。