読書

Nancy Fraser, Scales of Justice, 2008の第6章(フェミニズムの章)を読む。

Scales of Justice: Reimagining Political Space in a Globalizing World (New Directions in Critical Theory)

Scales of Justice: Reimagining Political Space in a Globalizing World (New Directions in Critical Theory)

フェミニズムは、再配分+承認に加えて、「代表representation」の問題にも取り組むべきという話。

こちらは、講演の準備も兼ねて、イントロダクションと第一章を。
人を活かす企業が伸びる―人事戦略としてのワーク・ライフ・バランス

人を活かす企業が伸びる―人事戦略としてのワーク・ライフ・バランス

「均等施策」と「両立施策」という概念規定をして、どちらも備えることが重要と主張。
ただ、両立支援だけだと「マミートラック」になるので均等施策と両方必要、というのは、よくできているのだが、「女性を主たる対象にした場合には」という限定も必要だろう。どこかで書かれていたと思うが、男性の「両立支援」の実行可能性が芳しくないことを踏まえて、より「現実的な」ラインで提案されているという印象を持つ。もちろん、編者たちは『男性の育児休業』の著者でもあるので、「男性の両立施策」のラインを全く放棄したとうわけではないのだろうけれど。
ついでに言うと、「両立施策」概念を「均等施策」概念と切り分けることが可能になるのも、後者が女性対象のものとして観念されるからであるように思われる。「均等施策」は、別の言い方をすればポジティブ・アクションに相当するが、これは別に「仕事における均等」のためという風に狭義に理解する必要はないからだ(まあ、大抵そういう風に理解されていることは事実だけれど)。