読書

今週末は出張も用事もなく、遅れている原稿を書き進めるべき・・・なのだが、思わず、鈴村興太郎『厚生と権利の狭間』ミネルヴァ書房、2014年、を読み進めてしまう。第6章「厚生経済学の実践的側面」の途中までと、第8章「日本の学術の一層の発展のために」の拾い読み。大学院を恐るまで日本で過ごしながら、世界的な名声を博した研究者の歩みは、(そのすべてに賛意を示すのでなくとも)いろいろと勉強になる。自分ができるのにやらなかったことを深く反省する機会にもなる。かなり率直な叙述もあり、自伝として素直に興味深くもある(ちなみに、常滑出身→明和高校卒業と、愛知の方でありました)。

厚生と権利の狭間 (シリーズ「自伝」my life my world)

厚生と権利の狭間 (シリーズ「自伝」my life my world)

 もう一冊、森政稔『〈政治的なもの〉の遍歴と帰結』青土社、2014年、もいくつかの章を読書中。〈政治的なもの〉の探求が民主主義において「根拠なきことを根拠にする」ことを求め、その結果、民主主義はますます困難なものになっていく、という「第0章」と「結語」での指摘は、その通りだろうと思う。それは確かに政治を政治的に考えようとする者にとっての苦境/隘路であるかもしれない。しかし、ではどうすればよいのか、そこから再び何らかの「根拠」を探し求めるべきなのか、その時、「政治的なもの」はどうなるのか、このあたりが問われているのだと思う。