宮台真司・福山哲郎『民主主義が一度もなかった国・日本』(幻冬舎新書、2009年)を読んでいる。ひとまず、第2章まで。
- 作者: 宮台真司,福山哲郎
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/11/26
- メディア: 新書
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宮台氏は、子ども手当を青くまで緊急避難的なというか「過渡的政策」として捉え(ただし、だからこそ、所得制限をつけずに無条件で給付するべきなのだ、と言う)、将来的には、バウチャー制に移行すべきだと考えているようだ。
という話を読んだ時に、以前に、某先生に「BI論をやっている人は、バウチャー論も議論するべきではないのか?」と言われたことを思い出した。
その時の僕は、「いや、そんなこと言われてもねえ…」という感じだったのだが、このたび、「ああ、そういう話か」と思った次第。
ただ、きっと個人的には、「バウチャーでサービス提供における競争」というところが(なお、この点が本書で主として議論されているわけではないので、念のため)、引っかかるんだろうなと思う。
あと面白かったのは、「政策」だけでなく「政治過程」もという話とか、個別の要求や批判と全体の方向性をつけること(「ガバナンス」と本書では言われているが)との関係についてとか。誰かが多少不利になっても、社会全体を特定の方向で動かしていくにはやむを得ない、という割り切りをやらねばならないとしても、そのような割り切りを、(明らかに論外な「異議」はそれこそ論外として)決断主義的に問答無用で切り捨てるのでもなく、かといって、時間や手続きの都合上やむを得ないという形で一見もっとも形式合理的に見えつつしかしその実、不満は鬱積するような形で処理するのでもなく、行っていくような「過程」の形成が大事なのだろうなと。