PA本合評会

 昨日の午後は、大学にて田村哲樹・金井篤子編『ポジティブ・アクションの可能性』〈ナカニシヤ出版、2007年)の合評会でした〈というか、自分で企画したんだけど)。Nさん、Hさんを評者にお招きして、いろいろ議論しました。

ポジティブ・アクションの可能性―男女共同参画社会の制度デザインのために

ポジティブ・アクションの可能性―男女共同参画社会の制度デザインのために

 お二人には、丁寧に本を読んでいただいた上に、詳細で的確なコメントを出していただき、文字通りおおいに勉強になりました。とくに、「差別」と「多様性」の問題は、つまりポジティブ・アクションの正当性の論拠を、過去の差別に求めるのか、多様性の維持・確保に求めるのか、という問題は、難しい問題です。また、各自の選好をどのように捉えるのかという問題、つまりたとえば、現時点で「私はパートでいい」といっている人がいたとして、それをその通りに受け止めるのか、しかし条件が変われば異なる選好を示すのではないか、という問題です。現在の選好をすべて所与として受け止めてしまうと、PAというものは必要ない、という話になるでしょう。そこにあえて介入するのは、パターナリズムとのそしりを免れません。しかし、人の選好は不変とは限らないわけです。「子どもが生まれたら仕事をやめる」と思っていても、後で後悔することもあります(しないこともあるでしょうけれども)。そこらへんの問題について、もっと検討する必要があるのでしょう。
 ともあれ、僕には思っていた以上に(というとへんな言い方ですが)興味深く刺激的な会となりました。