読書

かなり駆け足でざざっとですが、一応読み終わる。

これが憲法だ! (朝日新書)

これが憲法だ! (朝日新書)

 このお二人は、「境界線」の概念をめぐっていつか合間見えられることだろう…と思っていた僕には、まさに我が意を得たり、というような対談本でした。
 「まえがき」で杉田さんは「長谷部さんが、自ら憲法学者であることに違和感を抱いているように見え」、そして「私自身…政治学が何なのかよくわからない」とおっしゃっています。でも、僕の見る限り、内容的にはまさに、政治学者と法学者の思考様式が真っ向からぶつかっているのではないでしょうか。それは、乱暴にまとめると、できるだけ問題を問題化していったほうがよいという杉田さんと、比較不能な問題はできるだけ問題化しないようにしたほうがよいという長谷部さんのぶつかり合いです。デモクラシーと立憲主義の対立、と言ってもよいわけですが*1
 とくに164ページあたりは、かなり「バトル」(?)がヒートアップしている模様。
 ただ、第4章の権利と義務のあたりの話は、もう少し突っ込んで欲しかったという気もします。
 というわけで、全体的にはお二人の持ち味がよく出ている一冊ではないかと思います。ちなみに、お二人の対談はいつごろ行われたのでしょうね??
 興味を持った方は、次はこのへん↓をぜひ。
境界線の政治学

境界線の政治学

憲法と平和を問いなおす (ちくま新書)

憲法と平和を問いなおす (ちくま新書)


【追記】立憲主義とデモクラシーを対立的にでなく、相互補完的というか相互支持的に捉える議論動向については、次の論文などが参考になります。


谷澤正嗣「現代リベラリズムにおける立憲主義とデモクラシー」飯島昇蔵・川岸令和編『憲法と政治思想の対話』新評論、2002年。

憲法と政治思想の対話―デモクラシーの広がりと深まりのために

憲法と政治思想の対話―デモクラシーの広がりと深まりのために

*1:両者は必ずしも対立的に捉えられるべきとは限らないことは言うまでもありません。念のため。