出ました

 森岡正博『感じない男』(ちくま新書、2005年)が出ましたね。いくつかの元になっている論文を(噂は知りつつ)読んでいなかった僕としては、「こりゃ、すごい本が出た」という感じです。もちろん叙述の方法自体は極めてベーシックというか論理的なのです。でも、分析対象、そしてその分け入り方が、とりあえず「すごい」としか言いようがありません。ぜひご一読を。
 この本、昨年秋の赤川さんの本に引き続き、最近のちくま新書の広い意味でジェンダーセクシュアリティを扱った本の中で話題になりそうな感じです。余談ですが、僕の学部ゼミでテキストに選ばれる新書は、なぜかちくま新書が多いです。偶然といえば偶然なのですが、趣味がもっとも合っているんでしょうね、やっぱり。
 明日の大学院のゼミでは、同僚のA先生ご推薦のキャス・サンスティーン、石川幸憲訳『インターネットは民主主義の敵か』(毎日新聞社、2003年)を読みます。日本語のタイトルだけ見るとあまりピンと来ないのですが(といっても、原著のタイトルもRepublic.comなので、ピンと来る人には来るけど、来ない人には来ないか)、これは熟議民主主義についての基本的でありつつ、応用的な本です。A先生のご教示に影響されているだけかもしれないのですが、著者の言いたいことは大変よく伝わってきます。ちなみに、この著者の名前は、「サンスティン」と訳されている場合が多いと思いますが。アメリカの憲法学者で、熟議民主主義についても積極的に発言している人ですね。分厚い別の翻訳もあるのですが、こちらのほうがとっつきやすいのは間違いありません。