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Chantal Mouffeの新刊 Agonistics: Thinking the World Politically, Versoが届く。

Agonistics: Thinking The World Politically

Agonistics: Thinking The World Politically

 早速第1章What Is Agonistic Politics?を読む。ムフの闘技的アプローチが「敵対性」と「ヘゲモニー」を鍵概念としており、これらの点から見て他の闘技の理論家たち――具体的には、アレント、コノリー、ホーニッグ、そして闘技ではないけれど「政治/政治的なるもの」の関係でバデュー――とは違うことが論じられている。
 特に興味深いのは、ホーニッグに対する批判だと思う。異なるアイデンティティの間の対立・競合contestationとして闘技を提示する(とムフが理解する)ホーニッグに対して、ムフは、この意味での対立・競合自体を否定するわけではないものの、闘技的な闘争をこの意味でのみ理解することはできないと主張する。大事なことは、ヘゲモニックな節合の決定的な役割を理解することであり、既存のものに挑戦するだけではなく、新たな節合と新たな制度を構築することの必要性であり、そのために「何をなすべきか」だというのである。
 このように整理されるとホーニッグにはホーニッグで言いたいことがあるかもしれない。しかし、少なくともムフ自身が「政治」というものをどのように考えているかは、よく伝わってくるように思う。