お買いもの

『「育メン」現象の社会学』の方は、ざっとですが第1章を読みました。第1章の最後に、北欧諸国で育児休業中の男性たちにインタビューすると、日本のマスコミで「育メン」が取り上げられているということに「一様に驚く」、なぜなら、北欧では「育児をする男性は『当たり前』で、ニュースの価値がないから」という風に書かれている(38頁)。
もちろん今ではそうだろうと思うのだけれども、しかし細かいこと(というか、やや揚げ足取り的なこと)を言うと、北欧諸国でだった1980年代(90年代も?)には、似たようなキャンペーンがあったはず。Hobson (ed.) Making Men into Fathersの北欧の章には、そのことが書かれていたと思う(し、表紙の写真からしてキャンペーンのもの)。
いやもちろん、そのタイムラグが問題だということはわかっているのですが。

Making Men into Fathers: Men, Masculinities and the Social Politics of Fatherhood

Making Men into Fathers: Men, Masculinities and the Social Politics of Fatherhood

【追記】
第2章に入ると、2000年代の「育メン」現象を支える様々な背景が整理・記述されていて、インフォーマティヴです。


【追記・その2】
研究方法についての叙述から、一部抜粋。量的研究と質的研究は性質的に違うという点が強調されている。また、質的研究は、単にその事例の理解にとどまるのではなく、そこからより一般的な「理論」や「概念」を生み出すことを目指すべきと考えられている。

量的データの分析は作業仮説を検証することを目的といて行われる。質的調査は、通常インタビューを限られた対象者へ実施し、そのデータをテキスト化(テープおこし)して、緻密に分析するが、その目的は「理論の構築」や「概念の生成」であることが多い。(110頁)

〔質的調査は〕量的調査と比べて科学的ではないと評される場合があるが、そもそも量的調査は得られたデータを計量的に処理し仮説の検証を行うことを目的とするものであり、質的研究は洞察的な解釈により意味連関的にデータを分析しながら概念の生成などを目的として行う調査であるから、これらの二つの研究手法を比較する意味はあまりないと思う。」(126頁)