読書

苅谷剛彦『アメリカの大学・ニッポンの大学』中公新書ラクレ、2012年、の第1章(ここまでで100ページくらいある)をざっと読了。

 前にも書いた通り、20年前に、しかも体験をもとに書かれ出版された本を新書用にまとめ直したということだけれど、今読んでも、「現場の大学教員」的には、あまり違和感がないというか、勉強になるというか、要するに20年前に書かれたものとは、思えない感じがあります。
 1章のトピックはTAでしたが、結局今でも、日本の大学ではTAをうまく位置づけることができておらず、また、そのためか、報酬も十分ではないと思われます(そう思うのは、僕の狭い経験のためかもしれませんが)。
 それとは別に、アメリカの大学の歴史に関する記述も勉強になりました。元々は教育重視だったとか、そういう話も含めてです。
 それにしても個人的に思うのは、どうして「教育の質」とか、「学習時間の確保」とか言うときに、アメリカやその他の国の大学のように、科目自体は週数コマ程度にして、それぞれの授業のサブゼミ的なものを実施して、そこでのスクーリング(ここでTAが大きな役割を果たす)を前提にする形で講義をする、という形の「改革」が行われる雰囲気が全くないのか、ということです。どうせ変えるのならば、こういうところから変えていかないと、とても「グローバル水準」になどなれないように思います。
 でも、そういうことはきっと皆さんわかっているはずで、だからこそ、なぜそうしないのかということが、いっそう謎になってくるわけです。