読書

ちびちびと読んでいた、小熊英二『社会を変えるには』講談社現代新書、2012年、をようやく読了。

社会を変えるには (講談社現代新書)

社会を変えるには (講談社現代新書)

以前にちょっと書いたことに付け加えると、自分にとって興味深かったことの一つは、(これは初歩の初歩かもしれませんが)対話についての説明と、それと弁証法の関係の話、そして弁証法の発想が再帰性の増大への対応の議論にも当てはまることという指摘でした。なるほど、確かに、再帰的近代→対話のロジックは、マルクスの資本主義分析のロジックと共通するところがあるわけです。
それから、政治エリートを特別扱いしない見方です。たとえば、現代社会にはもはや「中央制御室」は存在しないという指摘や(426頁)、「現代の誰しもが共有している問題意識」についての記述(434頁)などです。こういった現代社会認識を共有するかしないかで、「政治」とその役割の考え方も変わってくることでしょう。そして、僕自身は、「共有している派」なのでありました。


そして最後に、僕たちの出した『デモクラシーの擁護』ナカニシヤ出版、2011年、と一緒に読んでもらえるとよいのではないかと思ったのでした。

デモクラシーの擁護 ―再帰化する現代社会で―

デモクラシーの擁護 ―再帰化する現代社会で―