思うところあって、田口富久治先生の二冊の本を送ってもらい(N君、どうもありがとう)、そのうちの一冊、『先進国革命と多元的社会主義』(大月書店、1978年)を読んでいる。
- 作者: 田口富久治
- 出版社/メーカー: 大月書店
- 発売日: 1978/03
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ここまでで、西ヨーロッパの諸共産党における議論(ユーロ・コミュニズム)などを参照しながら述べられているのは、従来的な共産党の考え方からの脱却の諸特徴、とりわけ、多元主義/複数主義の重要性、「集中」に対する「民主」の意義、政治的民主主義を基礎としつつ、そこにリベラルな諸価値の承認を副次的に付け加えていくという形での、自由主義と民主主義の結びつき、などである。
ちょっとメモしておくと、
リベラル・デモクラシー、ないしは権力制限的民主政の場合には、マクファースンなどの論じているように、私的所有、私的自治の権力の介入からの擁護、それに必要なかぎりでのブルジョワジーの政治参加が基本なので会って、それに大衆の圧力の結果として普通参政権=デモクラシーが文字通りつけ加わる――そしてこの両者の間には解きがたい矛盾が存続する――のにたいして、ここで問題になっているのは、基本としての人民主権、直接民主主義(自治)の理念によって貫かれた民主主義的政治体制への、リベラルな原理(権力乱用の防止)の副次的導入なのである。(90-91頁)(イタリック部分は原文傍点)