以前に頂いていた、千葉眞『「未完の革命」としての平和憲法』(岩波書店、2009年)を、手に取り、読み終える。
- 作者: 千葉眞
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/12/22
- メディア: 単行本
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いずれも、立憲主義をかなり厳格に(というか狭く)「法の支配」としてのリベラル・モメントにおいて捉える最近の(特に憲法学の一部における)風潮に対する異議申し立てと言うことができる。その意味では、著者の力点は、「構成的モメント」の積極的抽出にある、と言うことができるだろう。
そのような著者の立場からして、著者は「リベラル・モメント」と「構成的モメント」との緊張関係、つまり、立憲主義と民主主義との緊張関係については、よく認識している(特に第2章)「純粋な民主主義を表現している人民の憲法制定権力は、憲法創造の源泉であると同時に憲法への脅威の源泉でもある」(75頁)。
しかし、「構成的コメント」の諸要素の間の緊張関係については、必ずしも十分に注意が払われていないように見える。具体的には、「デモクラシー」と「平和主義」との関係について、著者の関心は、歴史的事実としての日本国憲法の制定過程の理解から両者を構成的モメントの要素として捉えることに向けられており、両者の緊張関係について、理論的に考察することにはそれほど注意が払われていないように見える。しかし、具体的な日本国憲法において、両者を「構成的モメント」として解釈することができるとしても、一般的に、民主主義であることが平和主義への支持をあらかじめ約束するとは言えないことも確かである。このあたりの考察が、「政治学的」な憲法の考察には求められるのではないだろうか。