メモ

あとで読む(というか結論部分は読んじゃった)。

  • David Marsh and Heather Savigny, "Political Science as a Broad Church: The Search for a Pluralist Discipline," Politics, Vol. 24, No. 3, 2004.


アブストラクト(と結論部分)によると、1996年刊行のGoodin and Klingemann eds., A New Handbook of Political Scienceは、アメリカ以外の国で勤務する(グッディンはオーストラリア(ただしアメリカ人らしい)、クリンゲマンはドイツ)研究者による 編著にもかかわらず、彼らによるoverviewは、「アメリカ的な政治学の見解an American view of political science」を表しており、かつ、政治学の現状を、「professional, pluralistic and improving rapidly」と捉えている。これに対して、著者たちは、政治学とりわけアメリカ政治学は、依然として実証主義的な認識論と、その実証主義に支えられた行動論的アプローチ、合理的選択アプローチとによって支配されていると主張する。そのために、著者たちは、APSR, AJPS、BJPS、Political Studiesという英米の代表的ジャーナルに掲載された論文について、著者の出身国やアプローチの種類(合理的選択、行動論、規範理論、その他/非実証主義)を調査する。その結果、前2者が大きな割合を占めていることがわかる。
 著者たちは結論部分で、次のように述べる。グッディン/クリンゲマンが述べた政治学の多元的な状態は「切望」であり「現実」ではない。我々は、あらためて、「政治学には異なる方法が存在する」という意味での多元主義を擁護する。このことは当たり前のことを言っているように見えるかもしれないが、そうではない。というのも、実証主義者たちは自分たちのアプローチの優位性を主張する傾向があるからである。ある優れた実証主義的な政治学者でさえ、
「よい」政治学のクオリティを実証主義的な基準を用いて判断する傾向がある。これに対して、私たちは、政治学を「寛大な教会(broad church)」として捉えるべきである。そこでは、異なる認識論的立場で活動する人々の立場を理解しつつ、それらの人々と関わっていくことになる。政治学は、このような意味で「多元的な職業(pluralistic profession」であるべきだろう。


ちなみに、Marshは、この論文の中で、自分はcritical realistだと書いている。例の教科書でそこまで明言していたかなあ(してたかも)。その彼が、ANUにいるというのも何かの縁か。


【追記】
グッディン/クリンゲマン編の本は、こちら。「アメリカ的」とかあんまり思わなかったような気はしますが。

A New Handbook of Political Science

A New Handbook of Political Science

マーシュ他の教科書は、よく紹介しているこちら。もうすぐ出るらしい第3版です。
Theory and Methods in Political Science (Political Analysis)

Theory and Methods in Political Science (Political Analysis)


  • James Johnson, "How Conceptual Problems Migrate: Rational Choice, Interpretation and the Hazards of Pluralism," Annual Review of Political Science, Vol. 5, 2002.


こっちはまだぜんぜん未読。