どうするのか

妻と電話で話す。
 彼女の話を聞いていて、よく思い出すのは、『丸山眞男回顧談』に出てきた、岡義武氏が丸山氏に語ったというか尋ねた(とされる)こと、である。
 自分には「確かにこうだ」と思えることを、「多くの人」はそう思っていないようであり、だとしたら、自分の方がやっぱり間違っているのではないだろうか、と。
 そこで、少なくとも「それでも、自分だけが間違っているわけではない」と、踏みとどまることができるとすれば、なぜなのか、どのようにしてなのか。あるいは、宗教に依拠せずに、それが可能なのか。大きな流れに飲み込まれそうな時に、何がせめて押し流されることを免れるための支えとなるのか。
……というようなことを、どうしてもいつも考えてしまうのだった。 

丸山眞男回顧談〈下〉

丸山眞男回顧談〈下〉