読書

齋藤純一編『自由への問い1 社会統合』岩波書店、2009年。
前半に当たる、齋藤/宮本対談(というか、宮本先生が齋藤先生の見解を引き出すという形で進む。きっと2巻は逆の形式だろうな)、齋藤論文、宇野論文、愛敬論文まで。

社会統合――自由の相互承認に向けて (自由への問い 第1巻)

社会統合――自由の相互承認に向けて (自由への問い 第1巻)

とりあえず、どれもとてもよい。
 対談は、齋藤論文の簡単なイントロでもあるとともに、新しい論点(というのは、これから取り組まれるであろう)も提示されている。
 齋藤論文は、「制度」と「デモクラシー」の規範的意味へのこだわりがよい……というか、少々「やられた感」もあるけど。
 宇野論文は、宇野さんらしい「さばき」で難解な思想家たちをまとめ上げるとともに、それだけ聞けば当たり前のような自由と平等のつながりをあらためて確認している。
 愛敬論文は、立憲民主政と宗教という難問に、憲法学者であるにもかかわらず、今日的状況の中でのデモクラシー的モメントの重視で答える。特に、結論部がよい。
 全体的に、「自由」を論じつつ、そのために民主主義の重要性を(も)唱えるという点で共通しているように思われた。