Julieta Elgarte, "Basic Income and the Gendered Division of Labour," Basic Income Studies, Vol. 3, No. 3.
ベーシック・インカムは性別分業の克服に貢献し得るとの立場からの論文。その理由としては、経済的リスクから助成を守る（生涯にわたる所得保障）、望まない関係からの「退出」オプションの保障、男女で役割をシェアしようとする人も貧困にある人にも両方役立つ、など。
ただし、ＢＩがむしろ性別分業を固定化するとの批判を著者は考慮に入れる。そこで、ＢＩが役割のシェアを促進し、性別分業の強化に陥ることを妨げるための、「アレンジメンツ」の必要性が提起される。
一つは、「実現手段enabling measures」であり、これは、労働者とケア提供者という二つの役割を同時に実現するための諸手段を指す。具体的には、短縮勤務や休暇制度などの充実、ケアサービスの利便性向上、（子どもの）学校のスケジュールの改善などである。
もう一つは、「促進手段promoting measures」であり、これは、伝統的なジェンダー規範を変えるための取り組みを指す。具体的には、学校での教育方法の改善や、カップルに平等主義的なジェンダー規範に従うことへのインセンティヴを作り出すこと（具体的には、別論文の参照が求められていて、直接には不明）などが挙げられている。
要するに、他の政策との組み合わせが大事、という話。
