読書

田口晃・土倉莞爾編著『キリスト教民主主義と西ヨーロッパ政治』木鐸社、2008年。
ちなみに、アマゾンでヒットするようになった模様。

キリスト教民主主義と西ヨーロッパ政治

キリスト教民主主義と西ヨーロッパ政治

以前に伊藤論文だけ読んでいましたが、全体を読了。勉強になりました。
 各章によって叙述のスタイル、扱う時期、そして問題設定の仕方は異なるものの、全体として、キリスト教民主主義政党における宗教と世俗の関係、そしてその歴史性を浮かび上がらせることに成功しているように思われます。
 また、第一章の水島論文の記述がよく効いています。


 ところで、この本から受ける印象だと、ドイツ(のCDU)というのは、キリ民の中では、ずいぶん特殊な存在。だから、「国民政党」とか「包括政党」とか「競争政党民主政」とか、もちろんさらには「リベラル・デモクラシー」とか、単純に言ってはいけないという話しなのだろうなと、某研究プロジェクトとの関係でぼんやりと思いました。
 ただ、それも程度問題…というのが不適切ならば、定義問題であろうとも思います。恐らく、僕が(?)焦点を合わせたいのは、比較的競争的な議会制民主主義と、比較的多極共存的な議会制民主主義と、両方合わせた上位概念としての議会制民主主義ないし自由民主主義への20世紀後半的な(この時代性も大事ですね)合意の揺らぎと変容と「模索」(しかしどこへ?)を、福祉国家社会保障との連関で捉えていく、というところであろうと思います。
 とりあえず、山口定『政治体制』も読み直そう…と思っていつもうっかりしているわけですが。

政治体制 (現代政治学叢書 3)

政治体制 (現代政治学叢書 3)

 あと、「自由民主主義」は、二大政党制的ないし競争政党制的な意味だけでなくて、非自由主義的=社会主義的な民主主義との対比、という意味もあったわけです。C・B・マクファーソンとかの議論ですね。
現代世界の民主主義 (1967年) (岩波新書)

現代世界の民主主義 (1967年) (岩波新書)

 まあ、でっかい話は常識的な話と紙一重なのですが、そこをうまくそれなりにクリアすること、ですね。別の仕事でも、自分のテーマになりそうな(というか、しようとしている)ので、頑張ります!!