メモ

メーダ『労働社会の終焉』(法政大学出版局)より。

労働社会の終焉―経済学に挑む政治哲学 (叢書・ウニベルシタス)

労働社会の終焉―経済学に挑む政治哲学 (叢書・ウニベルシタス)

一九世紀は、労働をとりわけ創造的な活動のモデルにすることによって、このような労働表象を根本的に転換させてしまう。・・・ともかく、労働はそれ以後、人間の本質として現われることになる。このような転換は明らかに、世界観、知識および具体的労働自体の実行条件が根本的に変化するのと歩みを共にしている。コレと同じ時期に、社会主義者によってもたらされた労働の偉大なユートピア図式が確立されたが、それは、現実の労働が真の労働になるには労働の具体的・法的条件がどのように変革されるべきか、ということを明らかにしている。それゆえ、工場で展開しているような労働を非難し、そこではあるべき姿の労働が歪められていると考える疎外論が確立される。だから、少なくとも論述の展開においては、労働の賛美、現実の労働の批判、労働のユートピア図式の確立、という三つの契機を区別する必要がある。(pp. 86-87)