読書

授業準備のため。


・藤田菜々子(2007)「資本主義の多様性と福祉国家――VOCとレギュラシオンの比較検討」山田鋭夫・宇仁宏幸・鍋島直樹編『現代資本主義への新視角――多様性と構造変化の分析』昭和堂。

現代資本主義への新視角―多様性と構造変化の分析

現代資本主義への新視角―多様性と構造変化の分析

 タイトルどおり、「資本主義の多様性」論とレギュラシオン理論との異同を検討した論文。資本主義の多様性論を最初に知ったとき、「レギュラシオン理論と同じでは?」と思ったものとしては、勉強になりました。また、資本主義の多様性論・生産レジーム論と比較福祉国家論との関係についてもフォローされていて、比較政治経済論の最近の動向を知るのによい論文だと思います。
ついでに、Hall and Soskiceのイントロも読み返しました。コーポラティズム論との異同も、よくわかりました。
Varieties of Capitalism: The Institutional Foundations of Comparative Advantage

Varieties of Capitalism: The Institutional Foundations of Comparative Advantage

 さらに、P・シュミッター「ネオ・コーポラティズム理論の経緯と実践のゆくえに関する省察」G・レームブルッフ/P・シュミッター編(山口定監訳)『現代コーポラティズムⅡ 先進諸国の比較分析』木鐸社、1986年。
現代コーポラティズム 2 先進諸国の比較分析

現代コーポラティズム 2 先進諸国の比較分析

 諸利益の組織化としてのコーポラティズムと政策形成の様式としての「協調方式」との区別、コーポラティズムの下での4つの紛争発生パターンの指摘など、あらためて勉強になる。
 今更こんなことを言うのもアレだが、コーポラティズムについては、わかっているようでよくわかっていないことを、時々痛感する。