読書

今度は、読みかけだった、コリン・クラウチ『ポスト・デモクラシー』青灯社、2007年をば、読了。

ポスト・デモクラシー―格差拡大の政策を生む政治構造

ポスト・デモクラシー―格差拡大の政策を生む政治構造

 全体として、「企業エリートの権力」とそこから生じる「商品化」傾向というある意味古典的な問題に焦点を当てている。企業の特権的権力という発想は、少なくとも政治学では、この30年くらいの間にその実証性の問題からかなり評判が悪くなってきているが、著者の議論は今一度このテーマを再考すべきときなのではないかと訴えている。
 要は、今こそ、市場とデモクラシーの関係を真剣に考慮し直すべきということだ。70年代から80年代にかけて、ダールやリンドブロムといったアメリカ多元主議論の第一人者たちが、ネオ・マルクス主義国家論の影響を受けて、企業の特権的権力を問題視する著作を発表したが、学問的には、当時の議論をもう一度再検討することも面白い作業かもしれない。そして、現在の時点で、市場とデモクラシーについて検討することも。
経済デモクラシー序説

経済デモクラシー序説

Politics And Markets: The World's Political-economic Systems

Politics And Markets: The World's Political-economic Systems