読書

宮台真司・鈴木弘輝・堀内進之介『幸福論』NHKブックス、2007年。
ようやく読み終わる。

幸福論―“共生”の不可能と不可避について (NHKブックス)

幸福論―“共生”の不可能と不可避について (NHKブックス)

なかなか感想を述べるのが難しい本。とりあえず、印象的だった宮台氏の以下の発言を紹介。

ぼくが「社会科学の新たなステージ」と呼ぶのは、「われわれ」の範囲は恣意的だ、どんな公正原理も選別と排除を含む、全ての境界線は現システムの産出物だ、という正しい理論的認識(密教)が再帰的に参照されて(顕教化されて)、恣意的な排除と選別が正当化され、社会が変質する事態です。
 「正しい理論的認識が再帰的に参照されることで正しくない事態がもたらされる」ステージでは、全体性を志向する社会科学の言説は、コンスタティビティ(記述性)のみならずパフォーマティビティ(遂行性)を――内容のみならず機能を――勘案せずには評価できません。(283頁)