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福祉社会学研究〈3(2006)〉

福祉社会学研究〈3(2006)〉

 武川正吾「福祉社会のガバナンス――グローバルとローカル」及び亀山俊朗「シティズンシップの変容と福祉社会の構想」を読む。
 武川論文は、福祉多元主義論および福祉(国家)レジーム論と、ソーシャル・ガバナンス論との異同を検討している。エスピン―アンデルセンの「三つの世界」論は、「福祉レジーム論の重要な貢献だとは思われない」(55頁)という指摘がなされている。「真の貢献」は、福祉政治の分析(言い換えれば、政治要因説の展開、ということだろうが)にあるというわけだ。
 亀山論文は、マーシャルの議論をベースに最近のシティズンシップ論の特徴を整理したもので、『社会政策学会誌』所収の拙稿と問題関心が重なるところもある。やはり、「市民共和主義」的なシティズンシップ論をどのように評価するのかが重要な論点と言えそうだ。