頂き物

 論文です。亀山俊朗さんよりいただきました。どうもありがとうございます。


①亀山俊朗「社会政策の変容とシティズンシップのゆくえ」『年報人間科学』第24号、2003年。
②亀山俊朗「市民社会と新しい社会政策――ベーシック・インカム論に向けて」『年報人間科学』第23号、2002年。
③亀山俊朗「市民社会の創生に向けて――NPOの限界と可能性」『年報人間科学』第22号、2001年。


 ①は最近の社会政策・福祉国家改革の諸原理を、シティズンシップの観点から整理しています。というか、これはまさに今度の秋の某○○政策学会*1での自分の報告課題と重なっているではないですか。若干文献のフォローが少ないとは思われますが、基本的な構図、とくにマーシャルの議論の扱い方は参考になりそうです。
 あとは、あらためて思ったこととして、シティズンシップを論じる際に、「社会的シティズンシップ」だけではなく、これと政治的シティズンシップとの関係を重視して論じてみることで、自分の「色」を出したいと思いました。もっとも、○○学会だと、ちょっとお門違いというか、「他流試合」になってしまいそうなのですが。
 ②はベーシック・インカムを扱うもので、ベーシック・インカムを政治活動や社会活動などへの規範的要請と結び付けないタイプの議論(具体的には、ヴァン・パライスの議論)にとくに注目しているように思われました。
 僕自身の以前書いた論文での悩みは、亀山さんとはまさに逆の悩み方で、「無条件給付のベーシック・インカムは、人々の公的関心を生成するのに役立つのだろうか?」というものでした(「熟議民主主義とベーシック・インカム」『早稲田政治経済学雑誌』第357号、2004年)。この論考の時点での僕の考えは、「やっぱり難しい」というものでした。ただし、ベーシック・インカムが人々の相互関係(互恵性)を損なうとは言えないのではないか(むしろ場合によっては、現金給付の際に特定の義務を課す方が互恵性を損ない得る)とも書きました。
 ただ、僕自身の率直なところは、ベーシック・インカムの「リアル・フリーダム」性、あるいはそれと密接にリンクしている「労働」の相対化効力への魅力なので、亀山さんのモティーフはよくわかります。


  

*1:伏字の必要性があるのかよくわからない。