読書

石井クンツ『「育メン」現象の社会学』を読了。基本的には、「男性の子育て」の様々な側面について、著者本人のものを含むこれまでの研究をレビューすることで、その到達点を確認するという本だった。割と淡々としたサイエンティフィックな書き方は、読み物としては好き嫌いがあるかもしれない。また、「育メン」として、通常の結婚の場合だけではなく、事実婚はもとより、シングル・ファーザー、ステップファーザー、ゲイの父親の場合も含めての議論となっている。

Williams 2005

 Bernard Williams, In the Beginning was the Deed: Realism and Moralism in Political Argument,Princeton University Press, 2005が届く。

In the Beginning Was the Deed: Realism and Moralism in Political Argument

In the Beginning Was the Deed: Realism and Moralism in Political Argument

 早速第一章のRealism and Moralism in Political Theoryを読む。もう一度丁寧に読まないとちょっとわかりにくいところもあったけれど、要するに「道徳の政治に対する優位」を示すような政治理論(おもに念頭に置かれているのは功利主義的または契約論的なリベラリズム)、政治理論を「応用道徳のようなもの」(p. 2)として考える理論――「政治的道徳主義political moralism」に対して、「明確に政治的な思想により大きな自律性を認める」アプローチである「政治的リアリズムpolitical realism」を擁護する、という内容。
 普遍主義に対する歴史主義といった見方もできるのだろうけど(本人も歴史を強調しているし)、ただ、焦点はあくまで「道徳」か「政治」かというところにある、ということが重要。

[本}[メモ][雑感]読書

小谷敏『ジェラシーが支配する国』高文研、2013年、も読み始めた。現在、三分の一強ほど。

ジェラシーが支配する国

ジェラシーが支配する国

今のところ、漠然と予想していたのとちょっと違う内容なのだけど、それは悪い意味ではない。
今は、ある宗教学者のところを読んでいるのだけど、彼の発言が引用されているところを読んで、ふと、宮台さんの例の「終わりなき日常を生きろ」のメッセージを、今の僕は、「政治の不可避性/重要性」として受け止めているのではないかという風に思った。「ここではないどこか」を目指すことを断念するということはつまり、自分とは異なる利害・意見・立場の人々と、どうにか折り合いをつけて生きていくということだ。そのための方法こそがつまりは「政治」というわけだ。