読書

 数土直紀『信頼にいたらない世界』勁草書房、2013年、をようやく読み終える。

 全体的なメッセージは大変共感できる本。本書で述べられるような信頼(「タイプ2の信頼」)こそが、「ひとびとの自由の増大にともなった「制御できない不確定性」の増大を事実として受けとめなければいけない現代社会」(246頁)においては、まさに求められているのだろうと思う。
 ただ、最終章「信頼と民主主義」については、若干、違和感も残った。その違和感は多分、この章で「民主主義」が出てくるのがやや唐突に思われたことと(比較の観点からの議論のため、ということはわかっているけれども)、信頼と民主主義との因果関係についてどう理解するかということとにかかわっていると思うけれども、まだうまく言語化できない。