読書

コリン・ヘイ(吉田徹訳)『政治はなぜ嫌われるのか』岩波書店、2012年、を読了。
まず言っておくべきことは、翻訳はとても読みやすくなされているということ。吉田さんと編集者さんの努力の賜物だろう。

政治はなぜ嫌われるのか――民主主義の取り戻し方

政治はなぜ嫌われるのか――民主主義の取り戻し方

なお、原書はこちら。
Why We Hate Politics (Short Introductions)

Why We Hate Politics (Short Introductions)

個人的には、第2章の「政治」をどのように定義するかの議論がとても面白かった。と、それは3、4章の前提の部分ではあるのですが。3章で、公共選択論が問題視されていて、それはそれでもちろんわかるのだけれど、何というか、ある程度一般に膾炙したのだとしても、学説・理論が直接に現実の政治不信の原因(の一つ)であるかのような言い方はどうかなとは思う。
全体的に、「政治とは何か?」的問題と現実分析とをうまく関連付けて本を書くというのはなかなか難しいことだなあという感想をもった。
でも、この本で「政治」をどう考えるべきかということに関心を持った人は、ぜひ杉田敦『政治的思考』岩波新書、2013年、を併せて読むことをお勧めしたいと思う。
政治的思考 (岩波新書)

政治的思考 (岩波新書)