小熊英二『社会を変えるには』(講談社現代新書、2012年)を、ちびちびと読んでいる。前から読んだと思えば、後の方を読んだりしたあと、今は、前から順番に読んでいる。
- 作者: 小熊英二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/08/17
- メディア: 新書
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驚くのは、その説明の「わかりやすさ」である。たとえば、なぜ対話的な民主主義なのかに関する叙述を読むと、自分が書いてきたことが、いかに単に小難しく書いていただけか、または、誰かの言ったことをなぞっていただけかを痛感させられる。簡単な言葉で書いてあるけれども、単なる「教科書」というのではない形で腑に落ちてくるような気がする。
「再帰的近代化」をはじめとして、ギデンズやベックの議論がかなり肯定的に参照されている(ように思われる)ことには、ちょっと驚いたし、このことで批判も出てくるのだろうなとも思う。でも、このあたりの記述も、自分が言いたいことを、自分よりもはるかに「わかりやすく」書いておられるように思われた。
唯一残念なのは、参考文献リストがついていないことだけれど(もっとも、本文中で直接取り上げている著作名は適宜書かれている)、これは(もちろん)意図的というか、きっと参考文献リストをつけだすと、時間がもっとかかって刊行が大幅に遅れるか、ページがもっと増えて、いよいよ「新書」であることがカテゴリカル・ミステイクになるか、その両方か、のいずれかであったのだろうと思われるので、仕方ないことなのだろう。きっと。