いろいろあるのだけど、飛行機の中では、以下の2冊を読書。
- 作者: 上野千鶴子
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2010/10/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/04/16
- メディア: ハードカバー
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そして、家で、加藤典洋『さようなら、ゴジラたち』(岩波書店)を読み始める。「戦後を戦後以後、考える」は、ブックレットで読んだような気がするので(若干、不確かな記憶だけど)スキップして、「戦後から遠く離れて」まで読了。
- 作者: 加藤典洋
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/07/29
- メディア: 単行本
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で、今回読んでみて、あらためて加藤さんの立場というのが、自分にはとてもよくわかる気がした。それは、具体的な論点についての見解というよりは、もう少し一般的というか抽象的な次元でのことだ。彼が言っているのは、たとえるなら、「正義」は他者の「正義」も踏まえた形で提示されなければならない(そうでない「正義」は、各自の「善」に過ぎない)ということ、そして、どこまでも「マジョリティーの人々を相手にする」形で、その意味での「正義」は考えられなければならないということ(この点について、近年の吉本が彼自身の立場を徹底できていないと論じるくだりは、少々感動的だ)、だと思う。
後者について補足すると、「マジョリティー」に寄り添うということは、共同体の伝統とか歴史に依拠することとは違うし(だから、加藤さんは常に前を向いている)、「マジョリティー」のものであるとされがちな感覚にベタに寄り添うことを意味しているわけでもない。「マジョリティー」の感覚の複合性というか多元性をきちんと把握しなければならない、と彼は考えていると思われる。そして、現時点での「マジョリティー」を真剣に考えることが、加藤さんを「戦後から遠く離れ」たところに連れてくるのである。
「マジョリティー」への寄り添い方をどのように考えるべきなのかについて、僕が加藤さんと全く同じ立場であるとまでは思わない。僕には、寄り添いつつも、同時に、そこから距離をとる契機を、やっぱり手放すべきではないと思えるからだ。それでも、彼の議論が焦点を合わせているところは自分とそれほど違わない、と思う。加藤さんに影響を受けたからそうなったのか、たまたま、同じようなことを考えていたからそうなったのかは、わからないけれども。