セミナー

今日は、グローバルガヴァナンスと熟議民主主義センターの定例セミナー。報告者は、Carolyn M. Hendriks氏。キャロリンは、ANU出身で、やはりANUのCrawford School of Economics and Governmentの上級講師です。今日の報告は、出版準備中の彼女の本(The Politics of Public Deliberation: When Citizen Engagement Meets Interest Advocacy)の理論的なパートについてでした。
彼女の問題関心は、interest advocacyとpublic deliberationとを対立関係で見るのではなく、両者の相互結合を経験的に明らかにしようというものです。今日の報告は、理論的部分だったわけですが、クリアカットな整理が大変参考になりました。僕自身も、帰国後は、とあるプロジェクトで、こういうテーマに関連したことをやる可能性があるので、なおさら興味深く聴きました。
今回も、「相互結合」の理解の仕方について質問することができ、よかったなと思っています。つまり、「相互結合」とか「インタレスト・アドヴォカシーの熟議民主主義への貢献」と彼女は言うわけですが、その際の「相互結合」や「貢献」とは、1)インタレスト・アドヴォカシーも、何らかの意味で熟議的な要素を持つ(持ち得る)という意味なのか、それとも、2)インタレスト・アドヴォカシーは、主体の側は意識はしていなくとも、何らかの意図せざる形で熟議民主主義の活性化に貢献し得るという意味なのか、どちらなのか、というような質問です。彼女の回答は、「両方」というものでした。
 報告自体はスピードが速くて、パワポがあって助かったという感じなのですが、まあ、「わかろうとわかるまいと質問してやれ」というくらいの開き直りでちょうどいいのかな、と思えるようになってはきたかなというところです。
 このセミナーでは、どんな形であれ、必ず一回は質問できるようにしようと思っています。今後も頑張ろう。

なお、キャロリンの論文は雑誌に多く発表されていますが、本だと、下記の本に寄稿があります。

The Deliberative Democracy Handbook: Strategies for Effective Civic Engagement in the Twenty-First Century

The Deliberative Democracy Handbook: Strategies for Effective Civic Engagement in the Twenty-First Century