Mckee 2009

  • Kim Mckee, "Post-Foucauldian Governmentality: What Does It Offer Critical Social Policy Analysis?," Critical Social Policy, Vol. 29, No. 3, 2009, pp. 465-486.

 従来のgovernmentality研究の問題を(最終的に)discursiveな次元での研究であったことに求め、フーコー自身にも立ち帰りつつ、'realist governmentality'アプローチの重要性を提起している。簡単に言えば、政府の方針や文書からgovernmentalityを分析するのではなく、個別具体的な政策領域において、現実に「統治」の合理性がどのように浸透しているのかを見ていくべきだ、ということ(だと思う)。そうすることによって、一貫した「統治」の合理性という理解ではなく、「統治」の合理性にも様々なものが混在していてそれらの間に対抗や矛盾があること、ゆえに統治は常に成功するわけではないことなどが明らかになる。
 う〜む、そのこと自体には納得なのだけれど、ではいったい「governmentality」とは何なのか、わざわざその言葉を使う意味があるのか、realistとか言わなくても、異なるディスコースの配置や対抗を見ていくということでも差支えないのではないか、とか、いろいろ疑問が出てくるところ。