読書

小野紀明ハイデガーの政治哲学』岩波書店、2010年。
まだ、第1章第1節まで。

ハイデガーの政治哲学

ハイデガーの政治哲学

「オンティッシュ」と「オントロギッシュ」の区別がキーワードになっている。『存在と時間』にこそ、ハイデガーの政治哲学がある、という主張と重なっている。
ちょっとメモしておく。某さんからのご教示を踏まえると、以下のあたりでの著者の力強い読み込みは、まさに著者のスタイルなんだよなあ、とあらためて実感したりする。

「政治的なもの」とは、或る「地平」の内部で特定の存在物として根拠づけられることによって見失われる、単に在るものが他のそれとの間に有するオントロギッシュな差異、存在物の全体性、即ち、存在を救出するために、その既存の自明な「地平」を解体することであり、それに代わる新たな「地平」を開示することである。(53頁。原文はすべて傍点が付してある)