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ジェンダーと社会理論

ジェンダーと社会理論

↑基本的には教科書として書かれた本。これを下敷きにして、より重厚な論文集など出れば…などと思う。
 ひとまず、北田氏による第2章「ジェンダー構築主義:何の構築主義か」を読む。構築主義の基本的な考え方を紹介するとともに、「構築主義は、生物学的差異の存在を否定する非合理主義である」という主張に対する、あり得る二つの応答パターンが述べられている。一つは、著者の言う「狭義の構築主義」の路線であり、もう一つは、加藤秀一氏が述べるようなヒュームの法則(禁則)の観点からのものである。
 この二つについては、特に異論はない。恐らく、論点になるとすれば、「私自身は、バトラー的な構築主義は、非合理であるというよりは、実はそれほどラディカルなものではない、と見ている」というあたりだろう。北田氏の議論だと、「権力」ないし「政治性の重視」という点を除いて、「狭義の構築主義」と「広義の構築主義」との間には、実はそれほど大きな違いはない、ということになりそうな気がするのだが、そういう理解でよいのだろうか。もっとも、「政治性の重視」ということそのものが大きな違いなのだということかもしれないし、逆に、大きな違いがないとすれば何か困るのかと問われると、それこそ困るのだが。


民権と憲法―シリーズ日本近現代史〈2〉 (岩波新書)

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