読書

で、タイトルがなかなか秀逸なこの本を早速読む。仲正さんの雑誌連載のエッセイを収録したもの。

金沢からの手紙―ウラ日本的社会事評

金沢からの手紙―ウラ日本的社会事評

 個人的には、「序に代えて」「第2信 学問が『金になる』とは?」「第3信 『国』を愛する」「第10信 立場の『入れ替え』は可能か」「第11信 『他者理解』への道」が、とくに面白かった。アイロニカルな姿勢で二項対立を焙り出す構図と「そうそう」と思わせる具体的な観察とがうまく噛み合った時の、この人の叙述は、なるほどと思わせる。
 ところで、「党派性」に関するこういうことは、しばしばありそうである。自戒したい。

だから、ブルジョワジ的な立場を代弁している、あるいは、知らない内に代弁する方向へと誤って誘導されている愚かでかわいそうな人間に対しては、野次ったり罵倒したりして“目を覚まさせ”(プロレタリアートの視点から見て)“正しい方向”へと導いてやる方が親切だった。(127頁)