読書

ジェンダー家族を超えて―近現代の生/性の政治とフェミニズム

ジェンダー家族を超えて―近現代の生/性の政治とフェミニズム

 といっても、全部読んだわけではなく、第6章と終章をパラパラと。男性と「ジェンダー家族」あるいはケアとの関係について、少々疑問がわくのですが、きちっと書く時間がないです(すいません)。要は、「男性がケアをより担うこと」は「ジェンダー家族」の強化に資するのかどうか、という話です。それと関わっていますが、もう一つ、著者は、男性がケアを行うことについて、①規範的には望ましいが現実にはあまり可能性はないと考えているのか、それとも、②そもそもこのことを強調することは「ジェンダー家族」の維持強化に資するので望ましくないと考えているのか、どっちなのだろう、ということです。


 もう一つ、岡崎晴輝「市民自治と自己決定の理念」『政治研究』(九州大学)第52号、2005年について。松下圭一政治学を取り上げ、市民自治に「ならざるを得ない」という「構造的必然性」(事実認識)が中心で、なぜ市民が主役になるべきかという「思想的必然性」(価値判断)の議論が手薄、との主張を行っており、なかなか興味深いです。
 というのは、僕自身は、(松下政治学を論じているわけではなく、デモクラシーや市民社会論一般についてですが)むしろ「思想的必然性」よりも、「構造的必然性」を押し出すような議論の仕方をしてきたからです(少なくとも自分ではそういう自覚がある)。