って、何がって、宮台さんの「アイロニー」と「オブセッシブ」の関係ですよ、ええ。
- 作者: 宮台真司,北田暁大
- 出版社/メーカー: 双風舎
- 発売日: 2005/10/22
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それにしても、やはり宮台さんは単なる秩序問題(「秩序はいかにして可能か」的問題)を考えているのではなくて、「望ましい」秩序問題(「人が望ましく(というのは、「自由」に)生きることのできる秩序はいかにして可能か」的問題)を考えているのです。きっと。
とはいえ、「参照項」(北田)あるいは「別様」の可能性を、「歴史」(としての亜細亜主義と天皇制)に求めることの有効性は、なお議論の余地があることでしょう。少なくとも、それらは「ベタ」ではなく「ネタ」であることについての(「歴史」的知識そのものではなく)「理論的知識」が前提です。かつ、宮台さんいうところの「エリート」が「亜細亜主義」「天皇制」によって感化されるかどうかも、「戦後民主主義」よりもその可能性が高いことを受け入れたとしても、一概には言えません。この戦略は、「社会批判」の流儀として、普遍的なものよりも、どこまでも当該文化の内部にその手がかりを求める(「解釈」)べきとするM・ウォルツァーさんの戦略とも一致するものがあると思います。
- 作者: マイケルウォルツァー,Michael Walzer,大川正彦,川本隆史
- 出版社/メーカー: 風行社
- 発売日: 1996/05/01
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- 作者: 丸山眞男
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
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そうだとすれば、だからこそ、普遍主義的な観点のみで押す議論のほうがむしろ人びとを感化する、ということもあり得るかもしれません。たとえば、長谷部恭男さんも、宮台さんと同じように、境界線というものは所詮は擬制であり根拠はない、ただし、そうであるがゆえに、いったん後退を認めるとそれを止める根拠はなく、より事態は悪化する、ゆえに擬制をあえて尊重することが道理なのだ、と説いています。この点では、自称「ネオコン」の宮台さんと長谷部さんは同じような議論を展開しています。しかし、長谷部さんは宮台さんほどには個別の文化・歴史を持ち出すことはないのではないでしょうか。もちろん、長谷部さんも、ローティと同程度には文化的制約性を認めていたかもしれませんが(ちゃんと検討しないと)。
- 作者: 長谷部恭男
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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まあ、宮台さんは、そういう可能性も知ったうえで、戦略的に一番効果的な方策を採用しているのだ、とおっしゃるのでしょうけれども。