読書

野口雅弘『官僚制批判の論理と心理』中公新書、2011年、を読了していました。

官僚制批判の論理と心理 - デモクラシーの友と敵 (2011-09-25T00:00:00.000)

官僚制批判の論理と心理 - デモクラシーの友と敵 (2011-09-25T00:00:00.000)

官僚制の今日的意義を、政治思想の観点から見出そうとする試みとして、よい本だと思いました。
デモクラシーの立場からの官僚制批判と新自由主義とが「共鳴」(88頁)し得るというのは、その通りだと思います。その上での問題は、デモクラシーの支えとなるような官僚制が成り立つための条件ということなのでしょう。そして、どのようなタイプのデモクラシーなのかを問う、ということなのでしょう。


ところで個人的には、53頁の次のような叙述が印象的でした。つまり、「官僚制的な組織」における「ルーティン」の中が、組織の内側では「退屈」に思われ、組織の外側からは「怠慢」に見えること、そして、「そうした不満を背景として、粗雑で、突飛な提案が受け入れられやすくなる」ということです。う〜ん、何となく思い当たる節があるなあと。