読書:安藤丈将『脱原発の運動史』

 先日頂いた、安藤丈将『脱原発の運動史――チェルノブイリ、福島、そしてこれから』(岩波書店、2019年)を読んだ。タイトル・サブタイトルから、3.11以後の話かと思われるかもしれないが、そうではない。基本的には「『3.11以前』の脱原発運動」(ix頁)、特にチェルノブイリ原発事故以後の脱原発運動についての本である。
 本書は、その脱原発運動の克明な記述であるとともに、「民主主義」を補助線とすることで、ある種の政治理論的な著作にもなっている。その筆致は、きわめて明晰でありながら、どこかやさしい。安藤さんは「はじめに」において脱原発運動にかかわる女性たちの「強さ」と「やわらかさ」の両立について書いているが、安藤さん自身の文章も、強くそしてやわらかい。

脱原発の運動史: チェルノブイリ,福島,そしてこれから

脱原発の運動史: チェルノブイリ,福島,そしてこれから