籠球館の思い出

 かつて、広島市に「籠球館」というバスケットボール専門の店があった。小さいお店だったけど、何しろバスケットの「プロショップ」。広島でバスケットをやっている人たちの多く(ほとんど?)が足を運んだことがあるのではないだろうか。オリジナルのシューズケースを持っているのは、バスケットをやっていることの証明のような感じだった。あのロゴが、かっこよくて、そして少し誇らしかった。
 僕の場合、籠球館は、自宅から比較的近くにあったこともあり、中二くらいからよく通うようになったと思う。中学生の頃は、そこでバスケット専門ブランドのTシャツ、ソックス、各種グッズを見るだけでも、心が躍って楽しかった。時々、バーゲン・セールみたいなのもあり、デッドストック的な古めのバッシュが安い値段で出ていたりして、それを普段履き用に買ったりした。大学生になって広島を離れても、帰省時に立ち寄ったり、場合によってはシューズを発送してもらったこともある。
 店長(?)のNさんのことを具体的に認識したのは、高校生になってからである。Nさんは、優れたバスケットの審判でもあり、高校生の大会でもよく笛を吹かれていて、そこで具体的に知り合うことになったのだと思う。Nさんのレフェリングはとても厳密かつ公平で、僕たちは全幅の信頼を置いていた。中国地方大会出場がかかったある試合の後に、「(大接戦が多いから)お前らの試合は、いつも大変なんだよ〜(笑)」と言われたのを、今でもよく覚えている。多分、誉めていただいたのだと思っている。
 大学で学部を卒業して、次第にバスケットから遠のく中で、籠球館を訪れることもなくなっていった。でも、帰省した時にバスの中から眺めていたはずだった。ところが、気づいたらいつの間にかなくなっていた。いつなくなったんだろうとネット検索してみたら、2004年には既になくなっていたという情報があった。そんなに前だったんだろうか。
 現在、広島には別のバスケットの専門店があるらしい。