論文刊行

1月から2月にかけて、2本の業績が刊行されました。
1)小野耕二先生の名古屋大学退職を記念した『法政論集』第269号(2017年1月)が刊行されました。全体として、小野先生の教えを受けた者(主指導教員または副指導教員として)および同僚の寄稿から成る論集です。全体は3部構成となっていますが、そのうち第1部は「小野政治学をめぐって」と題して、私を含む4人の研究者(近藤康史、加藤雅俊、西山真司)が「小野政治学論」を寄稿しています。もちろんそれぞれの寄稿者の評価の仕方には違いがありますが、小野先生の研究を知る方だけでなく、政治学のあり方について関心を持っている方々にも、興味をもって読んでいただける内容になっていると思います。
 拙稿は、「『新しい政治学』は確立されたか――小野政治学における政治=国家図式の残存」です(リンク先で閲覧可)。タイトルのとおり、小野先生の提起する「新しい政治学」は、少なくともまだ確立はされていない、という主張を行っています。私はあまり、「〇〇政治学」という言い方はしたくないのですが、今回だけは特別です。
 本号の寄稿論文の全体は、下記から見ることができます。興味深い論文がたくさんあると思いますので、ぜひご覧ください。
http://ir.nul.nagoya-u.ac.jp/jspui/handle/2237/5445/browse?type=dateissued&sort_by=2&order=ASC&rpp=20&etal=-1&year=2017&month=1&starts_with=



2)坂本治也編『市民社会論――理論と実証の最前線』(法律文化社、2017年)の第2章として、「熟議民主主義論――熟議の場としての市民社会」を執筆しました。この本は、「市民社会」についての包括的な教科書として作られたものです。私の章では、熟議民主主義論の1980年代末からの理論展開と、日本における熟議の現状とについて概観しました。

市民社会論: 理論と実証の最前線

市民社会論: 理論と実証の最前線