涙する理由

 1980年代〜90年代に活躍した歌手・グループが再び活動を行っている姿を見て、涙することがあります。個人的には、最近、レベッカMy Little LoverX JAPANなどを見て、そうでした。
 人はなぜそういう時に涙するのでしょうか。「歳をとると涙腺が弱くなってね」みたいな話も聞くわけですが、それは身体的な衰えとかそういうことを意味するのでしょうか。
 思うに、思わず涙してしまう理由は、少なくとも三つあります。第一は、何といっても自分の人生を振り返ってしまうことでしょう。その歌を再び聞くことで、最初にそれを聞いていた若かりし頃のあれこれが思い起こされます。今ではそれらは大抵、甘酸っぱかったり、ほろ苦かったりします(当時はこの程度では済まないことだったでしょう)。また、最初にその歌を聞いてから現在に至るまでの間のあれこれも思い起こされます。「ああ、ああいうこともあったなあ、こういうこともあったなあ、そして今に至っているのだなあ」ということです。もちろん、この期間が長いほど、思い起こされることも多くなり、涙の理由も増えていきます。
 第二に、その歌手・グループのこれまでの歩みを振り返ってしまうことです。久しぶりにそれらの歌手・グループに出会い、私たちは、言わば勝手に、当該歌手・グループの人生を想像し、振り返ってしまいます。「あの頃、あれほど人気があったのに、その後、色々あったのであろう。それを経て、今があるのだろう」と思うと、やはり心の動きは大きくなります。
 最後に、そうして今ここでまたかつてのようにパフォーマンスしている歌手・グループたちを見て、現在と未来の自分が励まされている気持ちになるのでしょう。つまり、「私もまだやれるのだ!やらなければ!!」という風に叱咤激励されている気持ちになるです(おそらく)。自分は、歳を取ったことを言い訳にして、勝手に諦めていたのではないか。まだ、頑張ることができるのではないか。ここでは、単なる過去の懐古だけではなく、現在から未来に向けた前向きな意識を喚起してくれるものとして、それらの歌手・グループは、私たちの前に表れています。
 というわけで、以上は全くの雑感ですが、歌手・グループに涙してしまう理由を考えてみました。もう年末ですね、そういえば…。