Marsh 2010

  • David Marsh, "Meta-Theoretical Issues," in David Marsh and Gerry Stoker eds., Theory and Methods in Political Science, Third Edition, Palgrave Macmillan, 2010.

「メタ理論的争点」とは、ここでは、1)構造とエージェンシーの関係、2)物質的なものと理念的なもの(ideational)の関係、3)安定性と変化の関係、を指す。
基本的には、それぞれの争点について、Colin Hay, Political Analysis, 2002の議論を参照しつつ、批判的実在論の観点から批判的な検討を行う、という形で論じられている。
1)については、「分析的」に「行為者」と「構造」とを区別するヘイの議論が結局「行為者」中心的で「構造」を前者に還元してしまっているとした上で、両者の違いは「存在論的」なものであり、「行為者」に意識されていなくとも影響を及ぼし得るような「構造」が存在することができる、と論じられる。そのような議論として、ブルデューの「ハビトゥス」概念にも言及している(余談だけど、ブルデュー関係で、Akram and Marshの未公刊ペーパーが参照されているが、このAkramは、数ヶ月間ANUに来ていた人だと思う)。
2)については、ヘイはideationalなもの一本の「厚い」コンストラクティヴィストであるが、そのために、物質的なものの存在を等閑視しているとされる。これに対して著者は、実在の物質的なものがディスコースに対して影響を持つと主張する。
3)については、安定と変化を別個の交互に起こるものと考えるのではなく、「安定性の文脈の中で変化は起こる」(p. 226)と考えるべきだとされる。

Theory and Methods in Political Science (Political Analysis)

Theory and Methods in Political Science (Political Analysis)

Political Analysis: A Critical Introduction

Political Analysis: A Critical Introduction

というか、今気づいたのだけれど、Palgraveの本は、Printed in Chinaだ。