「サラブレッド」について

 親の本の紹介をしたついでに、少し思ったことを。
「両親が研究者だ」と言うと、良い意味でも悪い意味でも「サラブレッドですね」と言われることがある。それが「研究に関してつながっている」(そういう意味で「文化資本」に恵まれている)という意味で言われているならばその通りなので、別に構わない。
 でも、そういう風に言う人も、もしも自分の子どもがいて、かつ、その子どもが将来研究者になった時に、「あなたのお子さんはサラブレッドですね」と言われたら、多分、「いやいや、そんなもんじゃないですよ」と強く否定しようとするんじゃないかな、と思う時はある。
 多分研究者は、自分に関係する場合、「研究者」という職業やアイデンティティについて、「そんなにたいしたものではない」と言いたがっている。だから、自分に直接関係することで「サラブレッド」と言われると、否定したくなるのだろう。でも、そんな研究者も、人にはつい「サラブレッド」と言ってしまう。そういうものなんだろう。