本2012

本秀紀『政治的公共圏の憲法理論』日本評論社、2012年、の序章より、民主主義と立憲主義の関係についての叙述をメモ。「リベラリズム憲法学」に対して、「民主主義憲法学」を対置する著者の立場をよく示していると思われる。

各人がもつ様々な資源の格差や政治的コミュニケーションが行われる場に浸透したイデオロギー状況等をそのままにして、そこで発せられた「意思」を「民意」と見なすのは、歪められた民主主義といわざるをえない。「民主主義なんて所詮はその程度のものなのだから、『立憲主義』で歯止めをかけるのだ」と言ってみても、「歯止め」の主要な方途が裁判所による違憲審査である以上、その場面は例外的局面に限定されていると同時に、民主的決定のありかたそのものにはまったく手がつけられていない。人びとは、そのような決定の下で日々暮らしていかざるをえないのである。(5頁)

政治的公共圏の憲法理論: 民主主義憲法学の可能性

政治的公共圏の憲法理論: 民主主義憲法学の可能性