高橋・小松・春日 2013

 高橋徹・小松丈晃・春日淳一『滲透するルーマン理論――機能分化論からの展望』文眞堂、2013年、のうち、小松氏による二つの章「ルーマン政治論におけるシステムの分出の条件と諸論点」および「社会的排除のリスクに抗する機能システムはありうるのか――ルーマンの「宗教」論ならびに福祉領域でのルーマン理論受容の動向」を読む。
 特に前者は、『社会の政治』への、つまりは(後期)ルーマンの政治システム論の特徴理解のための良いガイド。

滲透するルーマン理論

滲透するルーマン理論

 まだ拙いイメージであるが、ルーマンの(少なくとも)政治システム論については、ごく標準的な政治の理解の仕方をしている部分と、それの有する意味を(ルーマン自身は「観察」というのかもしれないが)解釈している部分とを分けることができ、読み手としては、後者の部分の含意を引き出すようにするとその面白さがわかってくる、ということではないかと思う。前者の部分だけ見ていると、わりとよく言われていることを、しかもやや歴史的展開の後付ではないかと思われるようなやり方で書いているようにも見えてしまうかなと思う(のは、こちらの問題かもしれないけれど)。